冠婚葬祭や贈答など贈りものや現金を包む紙や袋に添える「熨斗(のし)」には、差し上げる場合や戴いた場合の表書きの書き方やお返しの時期などのマナーがあります。
入学・卒業・就職祝い、結婚祝い、結婚 内祝い、出産祝い、出産内祝い、新築祝い、快気内祝い、お中元・お歳暮、葬儀などのシーン別の熨斗の表書きをはじめ、お返しの時期や水引の種類など、「書き方 」や「贈り方」に関する一般的なマナーをまとめました。
行事 | いただいた場合 | |
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のし表書き お返しについて | 水引 | |
入学 | 内祝 原則としてお返しは不要 お返しをする時は、お子様のお名前で贈りましょう。 |
蝶結び |
卒業 | ||
就職 | ||
結婚 | 内祝 披露宴に出席していない方には半額程度のお返しをします。 結婚式から1ヶ月を目安に。 |
結び切り |
新築 | 内祝 半額程度のお返しをします。 |
蝶結び |
御中元 | お返しは不要です。 お礼状を出しましょう。 |
|
御歳暮 | ||
出産 | 内祝 1/3~半額程度のお返しをします。 出産1ヶ月後、生活が落ち着いてから2ヶ月以内程度まで |
蝶結び |
初節句 | 桃の節句、端午の節句 | |
お葬式 | 四十九日忌、満中陰志 1/3~半額程度のお返しをします。 忌明(仏式の場合四十九日) |
結び切り |
病気で入院 | 快気祝、快気内祝 1/3~半額程度のお返しをします。 全快後、1週間~2週間を目安に。 |
結び切り |
行事 | 差し上げる場合 | |
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のし表書き お返しについて | 水引 | |
入学 | 祝入学 入学祝 御祝入学 御入学御祝 |
蝶結び |
卒業 | 祝卒業 卒業祝 祝御卒業 御卒業御祝 |
|
就職 | 祝就職 就職祝 祝御就職 御就職御祝 |
|
結婚 | 寿 御祝 御結婚御祝 |
結び切り |
新築 | 御祝 祝御新築 祝御新居 |
蝶結び |
御中元 | 御中元 暑中御見舞 お中元カタログ |
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御歳暮 | 御歳暮 寒中御見舞 お歳暮カタログ |
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出産 | 御祝 御出産御祝 |
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初節句 | ||
お葬式 | 【仏式】 御霊前 御香典 御香料 【神式】 御玉串料 御霊前 御榊料 |
結び切り |
病気で入院 | お見舞い | 結び切りまたは無 |
水引(みずひき)とは慶弔時の封筒につける飾り紐のことで、シーンによって紐の結び方や色、本数などに意味があります。
慶事の場合は「赤白」「金銀」「赤金」、弔事の場合は「白黒」「黄白」「青白」「銀」「黒」などを用います。
固く結ばれ、解くのが難しい結び方で、人生で何度も繰り返しては困るシーンに用いる結び方です。
結婚、弔事、病気見舞、快気祝 等
何度も結び直せる結び方で、人生で何度繰り返してもよい結婚以外の御祝いごとなどに用いる結び方です。
出産、入学・卒業、就職、転勤、昇進、定年退職、新築、開店、御礼 等
慶事の水引は「右紅左白」 赤、金が右で白、銀が左
本数は奇数(5、7、9本、結婚のみ10本)
弔事の水引も濃い色が右、薄い色が左
本数は偶数(2、4本)
「のし」は正式には「のしあわび」といい、慶事などのご祝儀の贈り物に添えるものであり、以前は儀式用の肴の代わりとして「のしあわび」を用いていました。
現在では一般的に「のし」と言えば「熨斗紙」や「熨斗袋」をさすことが多く、熨斗の表書きには、様々な書き方があります。
慶事・・・濃い墨
弔事・・・薄墨→悲しみの涙で墨が薄くなったという意味
※毛筆で記入
右から左へ年長者→年少者
ただし左上に宛名を入れた場合は宛名に近い方から、年長者→年少者
慶事・・・下の折り返し部分が外側=上向く
弔事・・・上の折り返し部分が外側=下向く
▶︎慶事
【出産祝い】
金品を贈って祝うときは、産後1ヶ月目ごろに。「御誕生祝福」などの書き方もある。親しい間柄であれば、「おもちゃ料」などとすると、より祝意が伝わる
【お宮参りでの神社へのお礼】
初穂はその年初めて実った稲の穂のことで、神社へのお礼に用いる表書き。「玉串料」としてもよい。名前は子どもの姓名を書く
長年勤め上げて退職する人には、お世話になったことへの謝意を込めて「御礼」とする
昇進祝いの場合は「祝御昇進(ごしょうしんをしゅくす)とするが、いずれも「御祝」だけでもよい
「御成人御祝(ごせいじんおいわい)」の書き方もある
小学生本人に贈る場合は、「にゅうがくいわい」「おめでとう」とひらがなで書いてもよい
昇進を伴わない転勤者や転職するために中途退職する人には「御餞別」とする
卒業と就職が続く場合は、就職祝いを贈るのが一般的
「卒業御祝(そつぎょうおいわい)」としてもよい
●「餞別」は本来、“旅費の足しにしてください”という意味があり、旅立つ人に差し上げるものでした。また、目上の人から目下の人へ贈るものとされており、年長者に贈るのは失礼にあたります。上司の定年退職のお祝いには、「御餞別」ではなく「御礼」として商品券などを贈るとよいでしょう。
●海外転勤や留学する若い人に餞別を贈る場合は“旅の途中で使ってください”という意味で「飲物代」「喫茶代」などの表書きで贈ってもよいでしょう。
なお、海外へ出発する人に贈る場合は、早めに渡します。空港で出発間際に渡されると困惑することがあるからです。
▶︎慶事以外 〜お見舞い編〜
お見舞いをいただいた人やお世話になった人には、「快気内祝」を贈る。「二度と病気を繰り返さない」という意味で結び切りの水引を用いる
目上の人には「御伺」とする
近くの家から出火して巻き添えになった家の人には、「近火御見舞(きんかおみまい)とする
台風や地震などで被害を受けた人に
目的 | 表書きの例 | 水引 | のし | ||
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結婚 | 結婚祝い結婚のお返し引き出物 | 寿 壽 祝御結婚 御祝 |
金 銀 | 必要 | |
内祝 寿 | 赤 白 | ||||
寿 | 結びきり | ||||
出産 | 出産祝い | 御出産祝 御出産御祝 祝御出産 |
赤白蝶結び | 必要 | |
祝御安産 御誕生御祝 御誕生祝福 | |||||
御安産御祝 | |||||
内祝 | |||||
子どもの 祝い事 |
初節句 | 桃の節句 端午の節句 | |||
入学祝い | 祝御入学 御入学御祝 | 赤白蝶結び | 必要 | ||
合格祝い | 合格御祝 | ||||
進学祝い | 祝御進学 御進学御祝 | ||||
卒業祝い | 祝御卒業 御卒業御祝 | ||||
就職祝い | 祝御就職 御就職御祝 | ||||
成人式のお祝い | 祝御成人 御成人御祝 | ||||
弔事 | 通夜・告別式で 金品を贈る場合 |
仏式 | 御霊前 御香料 御香典 御香奠 |
黒 白 結びきり |
不要 |
御仏前 (浄土真宗) | |||||
御供 (品物の場合) | |||||
御香 (線香を包む場合) | |||||
神式 | 御霊前 神饌料 玉串料 榊料 |
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幣料 御供 (品物の場合) | |||||
キリスト教式 | 御霊前 御花料 御白花料 |
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忌慰料 御花輪料 御ミサ料 | |||||
御弥撤料 (カトリックのみ) | |||||
香典のお返し | 仏式 | 志 忌明 忌明志 満中陰志 |
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神式 | 志 偲草 しのび草 茶の子 | ||||
キリスト教式 | 志 | ||||
見舞い | 病気見舞い | 御見舞 御伺い 祈御全快 |
なしor赤線 | 不要 | |
病気見舞いお返し | 快気祝 全快内祝 内祝 |
赤白 結びきり |
必要 | ||
全快しない場合のお返し | 御見舞御礼 謝御見舞 |
赤線入り | |||
火災で被害を受けた家の方へ | 御見舞 火災御見舞 災害御見舞 |
なし | 不要 | ||
地震で被害を受けた家の方へ | 御見舞 震災御見舞 災害御見舞 |
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水害で被害を受けた家の方へ | 御見舞 水害御見舞 災害御見舞 |
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台風で被害を受けた家の方へ | 御見舞 台風御見舞 災害御見舞 |
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長寿のお返し | 内祝い | 赤白蝶結び | 必要 | ||
新築、竣工のお祝い | 祝新築 祝竣工 祝落成 | ||||
開店・開業・改装開店のお祝い | 祝御開店 祝御開業 祈御発展 | 赤白蝶結び | 必要 | ||
開店・開業・改装開店のお返し | 開店記念 記念品 | 赤白蝶結び | 必要 |